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貯めたお金は、どう使う?

──資産の取り崩し、定額と定率のふたつ

公開

コインがたっぷり入ったガラス瓶から、コブタの貯金箱が少しずつコインを取り出しているイラスト。そばに砂時計が置かれている(貯めた資産を少しずつ取り崩していくイメージ)

毎月いくら積み立てるか。
その話は、いろいろなところで見かけます。
ところが、貯めたお金をどう使うかを教わる機会は、ほとんどありません。

資産形成を山登りにたとえるなら、いままでの話はぜんぶ「登り」です。
でも山でけがをしやすいのは、下りだと言われます。
お金も同じで、つまずいたときに取り返しがつきにくいのは、使い始めてからです。

この記事では、貯めた資産を使っていく「取り崩し」の考え方をまとめます。
むずかしい理論の話ではありません。
年金で足りない分はいくらか、何年分を見込むのか、どう取り崩すのか。
この3つを順番に見ていきます。

📖 この記事でわかること

  • ・老後の生活費のうち、年金で足りない分と、見込む年数
  • ・「定額」と「定率」、ふたつの取り崩し方のちがい
  • ・資産を長持ちさせる3つの工夫(現金・年金・口座の順番)

📌 この記事が前提にしているもの

NISAなどで、手数料の低いインデックス型の投資信託をこつこつ積み立ててきた方を想定しています。
家計の数字は総務省「家計調査 2025年平均」、寿命の数字は厚生労働省「令和6年簡易生命表」によるものです。
試算はすべて当サイトのシミュレーターで計算した一例で、税金・手数料・物価の上がり方は考えに入れていません。
実際にいくら取り崩せるかは、一人ひとりの年金額と暮らし方で変わります。

まず、年金で足りない分を知る

取り崩しの計画は、貯めた資産の額からではなく、毎月の家計から始まります。
最初に見るのは、毎月の生活費のうち、年金などの収入でまかなえない分です。
年金だけで暮らしていける方は、そもそも取り崩す必要がありません。

たとえば生活費が月25万円で、年金が月20万円なら、まかなえないのは月5万円。
この5万円を、資産から毎月足していくのが取り崩しです。
では、その差は平均でどのくらいなのか。
総務省の家計調査(2025年平均)を見てみます。

65歳以上の無職世帯、ひと月の収支(2025年平均)

夫婦ふたりの世帯

入るお金(年金などの収入)254,395円
出るお金(生活費263,979円+税・社会保険料32,850円)296,829円
毎月の暮らしに 42,434円が足りない

ひとり暮らしの世帯

入るお金(年金などの収入)131,456円
出るお金(生活費148,445円+税・社会保険料12,990円)161,435円
毎月の暮らしに 29,980円が足りない

※ 総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)2025年(令和7年)平均」より。65歳以上の夫婦のみの無職世帯と、65歳以上の単身無職世帯の数字です。ここでいう無職世帯とは、総務省の定義で「世帯主が働いていない世帯」を指します。配偶者が少し働いていたり、家賃や利子などの収入があったりする世帯も含まれるため、入るお金は年金だけではありません。夫婦の世帯では、そのうち228,614円(9割ほど)が年金などの社会保障給付です。

この42,434円は、年金などの収入だけでは払いきれなかった分です。
足りない月の分は、貯めた資産からおろして埋めることになります。
これが30年続くとすると、夫婦で約1,500万円、ひとり暮らしで約1,080万円になります。
いわゆる「老後2,000万円」に近い数字が、ここから出てきます。

⚠️ 足りない分は、家庭によって大きく変わります

いまの数字は、全国の平均です。
次のような家庭は、足りない分が平均より大きくなります。

  • ・収入が年金だけの家庭(この平均には、少し働いている世帯や家賃・利子の収入がある世帯も混ざっています)
  • ・賃貸で家賃を払っている家庭(この調査の高齢世帯は9割以上が持ち家です)
ひと月に足りない分 平均 収入が年金だけなら
夫婦ふたりの世帯 42,434円 68,215円
ひとり暮らしの世帯 29,980円 41,223円

逆に、年金が平均より多い方、支出が少ない方、65歳を過ぎても働いている方は、足りない分が小さくなります。

※ 「収入が年金だけなら」の額は、平均の支出から年金などの社会保障給付(夫婦228,614円・単身120,212円)を引いた目安です。収入が少ない世帯は支出も抑えるのがふつうなので、この額がまるごと足りなくなるとはかぎりません。ただ、住居費や光熱費のように減らしにくい支出もあるため、平均よりは足りない分が大きくなります。持家率は95.5%(家計調査 2025年平均)。

💡 年金からも、税金と社会保険料は引かれます

仕事を辞めれば社会保険料も終わり、と思われがちですが、そうではありません。
65歳以上は介護保険料を払い続け、75歳になると医療保険は後期高齢者医療制度に変わります。
どちらも原則、年金から天引きされます。

※ 天引きのしくみは厚生労働省「保険料(税)の特別徴収」によります。年金の額が少ない場合などは、天引きではなく納付書や口座振替になります。年金額そのものではなく、引かれたあとの手取りで考えるのが大切です。

平均の話はここまでです。
大事なのは、ご自身の生活費と年金額から出した、毎月の不足額です。
年金の見込みは、ねんきん定期便の見方の記事で確かめられます。

何年分を見込めばいい?

次に決めるのが、期間です。
平均寿命は男性81.09年、女性87.13年(2024年)。
ここだけを見ると、85歳くらいまで持てば十分に思えます。

ところが、平均寿命は0歳の赤ちゃんを基準にした数字です。
病気や事故で若くして亡くなる方も含めて平均するので、その分だけ低く出ます。
すでに65歳まで生きてきた方には、その低くなった分は当てはまりません
だから65歳からの見込みは、平均寿命より長くなります。

65歳の方が、あと何年生きるか(2024年)

👨 男性

平均であと 19.47年(およそ84歳)
90歳まで生きる方は 25.8%

👩 女性

平均であと 24.38年(およそ89歳)
90歳まで生きる方は 50.2%

※ 厚生労働省「令和6年簡易生命表」より。ちょうど半数の方が生きると見込まれる年齢(寿命中位数)は、男性83.89歳・女性90.04歳です。

女性の場合、半数の方が90歳まで生きます
平均で計画を立てると、半分の方が計画から外れてしまいます。
まずは90歳を目安に置き、余裕を見たい方は95歳まで確かめる。
これくらいが現実的なところです。

💡 年をとるほど、出ていくお金は減っていきます

ここまで毎月42,434円という平均で見てきましたが、この額が一生続くわけではありません。
同じ調査を年齢別に見ると、足りない額はこう変わっていきます。

  • ・65〜69歳……ひと月51,287円
  • ・70〜74歳……ひと月37,245円
  • ・75歳以上……ひと月27,225円

外出や旅行が減り、食べる量も減っていくためです。
75歳以上では、60代後半の半分近くまで下がります
夫婦のどちらかが亡くなったあとも、生活費は263,979円から148,445円へと下がります。

※ 家計調査 2025年平均、二人以上の世帯のうち65歳以上の無職世帯(世帯主の年齢階級別)と、65歳以上の単身無職世帯の数字です。ただし医療や介護の費用が増えると、この傾向どおりにはなりません。90歳より先まで見ておきたい方は、後半の取り崩し額を少し多めに置いて確かめてください。

取り崩しには、2つのやり方があります

毎月の不足額と期間が見えたら、いよいよ取り崩し方です。
方法は大きく2つ。
毎年おなじ金額を使う「定額」と、毎年残高のおなじ割合を使う「定率」です。

くらべる点 定額(毎年◯◯万円) 定率(毎年、残高の◯%)
暮らし 毎年おなじ額で計画しやすい 年ごとに使える額が変わる
資産の持ち 運用益より多く使えば尽きる 計算上はゼロにならない
使える額 最後まで同じ額を使える 残高に連動して増えも減りもする
向いている場面 毎月使う額を一定にしたい 資産を長く持たせたいとき

言葉だけではぴんと来ないので、同じ2,000万円で比べてみます。

🧮 定額:2,000万円を、毎年120万円(月10万円)ずつ

65歳から取り崩し始めると、資産が尽きるのはこの年齢です。

  • ・まったく運用しない(0%)……82歳
  • ・年3%で運用しながら……88歳
  • ・年4.5%で運用しながら……94歳

定額のよいところは、毎月使える金額が最後まで10万円のまま変わらないことです。
そのかわり、運用で増える分より多く取り崩していると、いつかは底をつきます
その日が何歳になるかは運用しだいで、まったく運用しない場合と年4.5%で運用した場合とでは12年も差がつきました。
利回りが高くなるほど、少しの差で長持ちするようになることも読み取れます。

※ 当サイトの資産取り崩しシミュレーターで計算した一例です。税金・手数料・物価の上昇は考えに入れていません。

では、利回りは何%で見ておけばよいのか。
じつは「これが正しい」という数字はありません
過去の実績を並べてみると、その理由がわかります。

最後の数字がとびぬけています。
ただし、このファンドは設定から7年8か月しかたっていません。
しかもその期間は、世界的な株高と歴史的な円安が重なりました。
同じ全世界株式でも、25年で見れば年率7.42%です。

つまり、利回りは期間の取り方しだいで何倍にも変わります
低く見ておけば安心ですが、低く見すぎると、使えるはずのお金まで使えなくなります。
この記事では、実際に25年運用してきたGPIFの実績に近い4.5%を、上のほうの目安として置きました。

※ 出典は、GPIF「2025年度業務概況書」、MSCI ACWI指数ファクトシート(2026年6月末時点)、三菱UFJアセットマネジメント(eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の設定来騰落率+282.43%、2026年7月24日時点)。同ファンドの年率は、この騰落率を運用期間で当サイトが換算したものです。いずれも過去の実績であり、将来の成果を約束するものではありません。取り崩しの時期に株式だけで持ち続けると、次の章で見る「取り崩しを始めた直後の下落」をまともに受けます。

🧮 定率:2,000万円を、毎年4%ずつ

初年に使えるのは、どの場合も80万円(月およそ6.7万円)です。
変わるのはそのあとで、95歳の時点ではこうなります。

  • ・運用しない(0%)……残高588万円、その年に使えるのは月2.0万円
  • ・年3%で運用……残高1,427万円、月4.8万円
  • ・年4.5%で運用……残高2,201万円、月7.3万円

年4.5%の場合、使える額は初年の6.7万円より増えています。
取り崩す4%を運用が上回ると、残高も使える額も増えていくからです。

※ 定額の例と同じ条件での計算です。定率は残高に割合をかけるため、使える額は残高に連動します。取り崩す割合(4%)より運用の成績が低ければ残高も使える額も減り、上回れば増えます。

どちらが正解というものではありません。
暮らしの安定をとるか、資産を長く残すかのちがいです。
生活の土台になる分は定額で確保し、余裕の分だけ定率にする、という組み合わせ方もあります。

⚠️ 「4%ルール」は、安全の保証ではありません

取り崩しの話でよく出てくるのが「毎年4%までなら大丈夫」という4%ルールです。
これは1990年代のアメリカで、株式と債券の過去の値動きをもとに示された目安です。

ただ、いま見たとおりです。
同じ4%でも、運用しなければ残高は3割以下に減り、年4.5%なら増えました。
4%という数字そのものが、安全を約束してくれるわけではありません

※ さらに日本とアメリカでは、税金のしくみも、公的年金の手厚さも、物価の動き方も違います。目安として知っておくのはよいことです。ただ、実際の金額はご自身の年金額と生活費から決めるほうが確実です。

いちばん怖いのは、取り崩しを始めた直後の下落

積み立てているあいだは、値下がりはむしろ安く買える場面でした。
ところが取り崩しに入ると、話が変わります。
下がったところで売ると、同じ金額を作るのに、より多くの口数を手放すことになるからです。

おそろしいのは、同じ平均の成績でも、下落が来る順番で結果が変わることです。
2,000万円から毎年120万円ずつ取り崩す場合で見てみます。

30年の平均は同じ年3%。下落の順番だけを入れかえると

取り崩しを始めて3年のうちに、下落が来た場合

最初の3年が毎年15%の下がり、そのあと27年は毎年5%の上がり。
資産は 78歳で尽きます

終わりの3年に、下落が来た場合

はじめの27年が毎年5%の上がりで、最後の3年が毎年15%の下がり。
95歳まで持ちます(残高93万円)。

※ 30年の平均の成績はどちらも年3%で同じです。値動きの順番の影響を見るために単純化した計算例で、実際の相場はこのようにきれいには動きません。

同じ平均なのに、17年も差がつきます。
これは「収益率配列のリスク」と呼ばれ、取り崩しの世界ではよく知られた落とし穴です。

🛟 数年分を、預貯金で分けて持っておく

この落とし穴への備えは、意外と単純です。
2〜3年分の生活費を預貯金で別に持っておくと、値下がりした年に売らずにすみます。
相場が戻るのを待てる余裕そのものが、資産を長持ちさせます。

※ 取り崩しを始めるころには、資産のうち値動きの大きいものの割合を少し下げておく、という考え方もあります。

取り崩す額そのものを、減らす

資産を長持ちさせる方法は、運用だけではありません。
入ってくるお金が増えれば、取り崩す額は自然に減ります。
その中でいちばん大きいのが、年金を受け取る時期を遅らせることです。

年金は、受け取りを1か月遅らせるごとに0.7%増えます。
5年遅らせれば42%、10年遅らせれば84%の増額です。
しかも増えた額が、亡くなるまでずっと続きます。

🧮 月15万円の年金を、5年遅らせると

15万円 × 1.42 = 月21.3万円(+6.3万円)
さきほどの夫婦の不足額は、ひと月42,434円でした。
増えた分だけで、その不足はまかなえる計算になります。

※ 出典は日本年金機構「年金の繰下げ受給」。遅らせているあいだは年金が入らないため、その期間の生活費を資産から先に取り崩すことになります。早く亡くなった場合は受け取る総額が少なくなる点や、税金・社会保険料が増える点にも注意が必要です。

年金を遅らせるかどうかは、健康状態や働き方でも変わります。
くわしくは年金って、結局いくらもらえるの?で、損得の見方をまとめています。

NISAと課税口座、どちらから先に使う?

ここまで、NISAで積み立ててきた方を前提に書いてきました。
ただ、NISAには年間360万円・生涯1,800万円という上限があります。
その上限を超える分も投資してきた方は、税金のかかる口座にも資産があるはずです。
証券会社では特定口座や一般口座と呼ぶもので、この記事では課税口座とまとめます。

両方に資産がある方は、もうひとつ考えることがあります。
同じ100万円を取り崩しても、どちらの口座から出すかで手取りが変わります

※ NISA口座しかない方は、売っても税金がかからないので、この章は読み飛ばして大丈夫です。口座の種類そのものについては、証券口座って何?でくわしく解説しています。

売ったときの税金

NISA口座

値上がり分にも税金がかかりません。
売った分の枠は、買ったときの金額をもとに翌年に復活します。

課税口座(特定口座など)

値上がりした分に、20.315%の税金がかかります。
100万円ぶん値上がりしていたら、およそ20万円が税金です。

※ 税率の内訳は所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%(国税庁)。課税されるのは売った金額の全部ではなく、値上がりした分だけです。

では、どちらから使えばよいのか。
一般には、課税口座から先に使うのが基本とされています。
NISAに置いたままにすれば、その間の利益にずっと税金がかからないからです。

たとえば、課税口座とNISAに1,000万円ずつある方が、毎年120万円ずつ使うとします。
課税口座から先に使えば、NISAの1,000万円は8年ほど手をつけずにすみます。
その8年で増えた分にも、税金は1円もかかりません

税金のかからない場所は、できるだけ長く残しておく。
これが「課税口座が先」と言われる理由です。
ただし、これはあくまで基本の考え方です。
そのときの値上がりの大きさや、その年にいくら使うかで答えは変わるので、売るときどきに考え直してください

毎月の売却は、自動にまかせられます

取り崩しには、地味ですが大きな問題があります。
毎月、自分で売る注文を出さなければならないことです。
手間もかかりますし、下がった月には「もう少し待とうか」と迷いも入ります。

そこで使えるのが、証券会社の定期売却サービスです。
決めた日に、決めた金額(または割合)ぶんを自動で売って、現金にしてくれます。
積立の逆をやってくれる、と考えると分かりやすいです。

定額と定率の両方を設定できるのは、いまのところ次の2社です。

できること SBI証券 楽天証券
定額で取り崩す 1,000円以上、1円単位 金額を指定
定率で取り崩す 0.1%〜50%(0.1%単位) 0.01%単位で指定
使い切る年月を決める 最長50年ぶんまで 最終の受取月を指定
受け取る月を選ぶ 毎月・奇数月・偶数月 毎月・偶数月・特定の月など
銀行口座へ移す 別に出金の指示が必要 自動で出金する設定が可能

※ 2026年7月時点で、各社の公式サイトに掲載されている内容をまとめたものです(SBI証券「投資信託定期売却サービス」、楽天証券「定期売却サービス」)。サービスの内容は変わることがあるので、申し込む前に各社の公式サイトでご確認ください。松井証券やマネックス証券など他のネット証券にも、投資信託を自動で売るしくみが用意されている場合があります。

💡 NISA口座の投資信託も、自動で売れます

どちらの会社も、NISA口座で持っている投資信託を対象にできます。
売って空いた枠は、買ったときの金額のぶんだけ翌年に戻ります。
設定してしまえば、あとは毎月お金が入ってくるだけです。

※ 自動にすると相場を見て迷わずにすむ半面、大きく下がった月にも決めたとおりに売られます。数年分の生活費を預貯金で持っておく話が、ここでも生きてきます。

定期売却サービスを使えるのは、その証券会社で投資信託を持っている場合です。これから口座を作る方は、積み立てやすさだけでなく、取り崩すときの使いやすさまで見ておくと、あとで別の会社へ移す手間がかかりません。

使わずに残すのも、もったいない

ここまで、足りない分をどう埋めるかという話をしてきました。
ただ、取り崩しは足りないから仕方なくやるもの、とはかぎりません。
年金だけで暮らせている方も、貯めたお金を使ってよいのです

むしろ、使うのを先延ばしにしすぎるほうが心配です。
体が動くうちにしかできないことが、たくさんあるからです。

💡 元気に動ける時間は、思っているより短い

日常生活に制限なく過ごせる期間を、健康寿命といいます。
男性は72.57歳、女性は75.45歳が平均です。
同じ年の平均寿命との差は、男性で8.49年、女性で11.63年ありました。

つまり人生の最後の8年から12年は、何かしら制限を抱えて過ごすことになります。
旅行も、趣味も、家族と出かけることも、できるうちにしかできません

※ 厚生労働省「健康寿命の令和4年値について」より。健康寿命を過ぎたら何もできなくなる、という意味ではありません。あくまで平均の目安です。

その一方で、お金のほうは残っています。
70歳以上の世帯の貯蓄は、平均2,471万円。
65歳以上の世帯の3分の1ほどが、2,500万円以上を持っていました。

※ 総務省「家計調査報告(貯蓄・負債編)2025年平均」より、二人以上の世帯の数字です。医療や介護に備えて手元に置いておきたい、という考え方もあります。

使えるお金があるのに、使わないまま残してしまう。
これも、取り崩し方を決めていないために起きることです。
もちろん、使いすぎれば後で困ります。
だからこそ、いくらまでなら使えるのかを先に確かめておく必要があります
その線さえ分かっていれば、あとは安心して使えます。

あなたの場合は、いくらまで使える?

ここまでの話は、どれも数字を入れてみないと自分ごとになりません。
いくらを、何%で運用しながら、毎年いくらずつ取り崩すか。
その組み合わせで、資産が持つ年齢は大きく変わります。

資産取り崩しシミュレーターに資産額と取り崩し額を入れると、定額と定率のどちらでも、残高が減っていく様子と資産が尽きる年齢がグラフで出ます。年金がある方は、生活費から年金を引いた不足分を取り崩し額の欄に入れてください。

まとめ:使い方を決めておくと、こわくない

📝 覚えておきたいこと

  • ・出発点は、毎月の生活費のうち年金でまかなえない分。年金で足りていれば取り崩さなくてよい
  • ・期間は平均寿命ではなく、65歳からの余命で見る(女性は半数が90歳まで)
  • ・定額は使う額が変わらず、定率は残高に連動して使える額が変わる
  • ・同じ平均の成績でも、取り崩しを始めた直後の下落はいちばん重くのしかかる
  • ・年金は受け取りを遅らせると増える。増えた分は一生続くので、毎月取り崩す額を減らせる
  • ・年金で足りていても使ってよい。体が動くうちに使うのも、立派な取り崩し

自分の場合はいくらまで使えるのか、資産取り崩しシミュレーターで確かめられます。

老後のお金がこわいのは、資産の額が足りないからだけではありません。
使い方が決まっていないと、いくら持っていても不安が消えないからです。
減っていく順番が見えていれば、貯めたお金は安心して使えます

小道を一歩ずつ歩いて進んでいくコブタの貯金箱のイラスト

貯めるのは、使うためです。
下り道の歩き方が分かっていれば、登ってきた道のりも、もっと軽やかになります。

📮 自分の年金額の見方は、年金って、結局いくらもらえるの?にまとめています。
📉 取り崩し中に相場が下がったときの考え方は、暴落したらどうする?をどうぞ。
🌍 何で運用しながら取り崩すかは、結局、NISAで何を買えばいいの?で整理しています。

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よくある質問

Q. 定額と定率、どちらを選べばよいですか?

A. どちらか一方を選ばなければならない決まりはありません。定額は毎年の暮らしが安定するかわりに、資産が尽きる日が来ることがあります。定率は資産が計算上ゼロになりませんが、取り崩す割合が運用の成績を上回っていると、使える額はだんだん小さくなります。生活の土台になる分は定額、余裕の分は定率、と組み合わせる考え方もあります。まずは両方を試して、減り方のちがいを見てみるのがおすすめです。

Q. 「4%ルール」は日本でもそのまま使えますか?

A. そのまま当てはめるのはおすすめしません。4%という数字は、アメリカの株式と債券の過去の値動きをもとに1990年代に示された目安です。日本とは税金のしくみも、公的年金の手厚さも、物価の動き方も違います。目安のひとつとして知っておき、実際の金額はご自身の年金額と生活費から決めるほうが確実です。

Q. 取り崩しながら、運用を続けても大丈夫ですか?

A. 運用を続ければ資産の持ちは長くなりますが、値下がりする年もあります。特に取り崩しを始めた直後に大きく下がると、その後の持ちが大きく悪くなることが知られています。数年分の生活費を預貯金で分けて持っておくと、値下がりした年に売らずにすみます。どこまで運用を続けるかは、眠れなくならない範囲で決めるのが基本です。

Q. NISAと課税口座、どちらから先に使うとよいですか?

A. 一般的には、税金がかかる課税口座から先に使い、NISAを後に残すと、非課税で運用できる期間を長くとれます。ただしNISAは売却した分の枠が翌年に復活するしくみもあり、どちらが有利かは、そのときの値上がりの大きさや、その年に使う金額によって変わります。一度決めて終わりにせず、売るときどきに、そのときの状況で考え直すのがおすすめです。

Q. 年金を受け取り始めたら、取り崩しはやめるべきですか?

A. やめる必要はありません。大事なのは「生活費から年金などの収入を引いた不足分」だけを取り崩すことです。年金が出ることで不足が小さくなれば、取り崩す額も自然に小さくなります。年金を受け取る前と後で、取り崩す額を分けて考えると計画が立てやすくなります。

免責事項

本ツールの計算結果は、入力された条件に基づく概算のシミュレーションであり、将来の運用成果や税額を保証するものではありません。投資には価格変動リスクがあり、元本を割り込む可能性があります。実際の投資・税務の判断は、金融機関や税理士等の専門家にご相談のうえ、ご自身の責任で行ってください。当サイトは特定の金融商品の推奨や投資助言を行うものではありません。また、当サイトにはアフィリエイト広告(PR)が含まれます。詳しくは免責事項をご覧ください。