年金って、結局いくらもらえるの?
──ねんきん定期便の見方と、老後の家計の考え方
公開
「老後は2,000万円必要」——
そんな言葉を聞くたびに、なんだか不安になりますよね。
でも、その不安の正体は「自分の年金がいくらか知らないこと」かもしれません。
足りるかどうかは、入ってくるお金が分からないと計算できません。
しかも年金の見込み額は、毎年とどく「ねんきん定期便」を開けば書いてあります。
このページでは、年金のしくみと平均額、そして自分の額の確かめ方を、いっしょに見ていきます。
📖 この記事でわかること
- ・年金は「2階建て」。自分がどこまでもらえるか
- ・みんな実際にいくら受け取っているか(公的な平均額)
- ・ねんきん定期便のどこを見れば、自分の額が分かるか
年金は「2階建て」になっています
日本の年金は、建物にたとえると2階建てです。
1階は全員が入る部分、2階は会社員・公務員だけが乗る部分。
自分がどこまで持っているかで、受け取れる額は大きく変わります。
🏢 2階:厚生年金(会社員・公務員)
お給料に応じて保険料を払い、その分だけ上乗せでもらえます。
給与が高いほど、加入期間が長いほど増えるのが特徴です。
自営業・フリーランスの方には、この2階はありません。
🧱 1階:国民年金(20〜60歳の全員)
日本に住む20歳から60歳までの人が全員入る、共通の土台です。
40年間すべて納めると満額で月70,608円(令和8年度・昭和31年4月2日以後生まれ)。
納めた月数が少ないと、その分だけ減ります。
1階の国民年金は、納めた月数で決まるシンプルな計算です。
満額 × 納めた月数 ÷ 480か月(40年)——
たとえば30年ぶん納めた方なら、満額の4分の3くらい、という具合になります。
出典:厚生労働省「令和8年度の年金額改定について」・日本年金機構「老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額」
年金額は毎年度見直されます。上記は令和8年度(2026年4月分から)の金額です。
実際、みんないくらもらっているの?
いちばん気になるところだと思います。
国が公表している実際の平均額を見てみましょう。
| どんな人 | 平均の月額 |
|---|---|
| 会社員・公務員だった方 厚生年金(1階の基礎年金を含む) | 約15万1千円 |
| 自営業・フリーランスなど 国民年金(1階だけ) | 約5万9千円 |
| 夫婦2人のモデル世帯 平均的な収入で40年働いた会社員+配偶者 | 約23万7千円 |
出典:厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業の概況(令和6年度)」の受給者平均年金月額、およびモデル世帯は「令和8年度の年金額改定について」(月237,279円)。
会社員だった方と、自営業だった方で2倍以上の差があります。
2階建ての「2階があるかないか」が、そのまま表れているわけです。
自営業・フリーランスの方は、その差を自分で埋める準備がより大切になります。
自営業の方の2階部分をつくる方法として、iDeCo(イデコ)や国民年金基金があります。
掛金が全額所得控除になるので、税金を抑えながら老後の分を積み上げられます。
ただし、この平均はあくまで全体をならした数字です。
同じ会社員でも給与と勤続年数で変わりますし、転職や働き方の変化でも動きます。
自分の額を知るには、次の「ねんきん定期便」を見るのがいちばん確実になります。
自分の額は「ねんきん定期便」でわかる
毎年の誕生月に、日本年金機構からハガキが届きます。
それがねんきん定期便です。
じつはここに、自分の年金額のヒントが全部書いてあります。
ここで、とても大事な注意点がひとつ。
50歳を境に、書いてある金額の意味がまったく違います。
ここを知らないと、「思ったより少ない」と不必要に落ち込んでしまいます。
🔎 50歳未満の方:「これまでの加入実績に応じた年金額」
今日までに納めた分だけで計算した金額です。
将来もらえる見込み額ではありません。
30代なら加入期間はまだ十数年ぶんなので、少なく見えて当たり前。
これから60歳まで働けば、その分がまるごと足されていきます。
🔎 50歳以上の方:「老齢年金の種類と見込額」
今の働き方が60歳まで続いた場合の将来の見込み額です。
こちらは老後の家計を考える材料に、そのまま使えます。
65歳から受け取る場合の額として書かれています。
50歳未満の方が将来の見込みを知りたいときは、「ねんきんネット」が便利です。
日本年金機構のサイトで登録すると、働き方や収入の条件を変えながら試算できます。
マイナポータルと連携すれば、マイナンバーカードでログインできます。
出典:日本年金機構「『ねんきん定期便』の様式(サンプル)と見方ガイド」・同「これまでの加入実績に応じた年金額は、どのように計算されているのですか。(50歳未満)」
老後の不足分に備える資産づくりは、運用益が非課税になるNISA口座の活用が第一歩です。すでに取り崩し期に入っている場合は、投資信託の定期売却(自動取り崩し)サービスのある証券会社を使うと計画的に取り崩せます。
受け取り開始は、60〜75歳から選べます
年金は原則65歳からですが、受け取り始める時期は自分で選べます。
早めれば減り、遅らせれば増える——というしくみです。
| 選び方 | 受け取り開始 | 金額の変化 |
|---|---|---|
| 繰上げ | 60〜64歳 |
1か月早めるごとに0.4%減 60歳まで早めると24%減 |
| そのまま | 65歳 | 増減なし |
| 繰下げ | 66〜75歳 |
1か月遅らせるごとに0.7%増 75歳まで遅らせると84%増 |
出典:日本年金機構「年金の繰上げ受給」「年金の繰下げ受給」。減額率0.4%は昭和37年4月2日以後生まれの方の率です(それ以前の生まれの方は0.5%)。
この差は、実際の受給額にもはっきり出ています。
老齢基礎年金の平均月額を選び方べつに見ると、繰上げが約4万6千円、65歳からが約6万1千円、繰下げが約7万7千円でした(令和6年度末)。
同じ制度でも、受け取り方で1.5倍以上の開きが生まれています。
⚠️ 繰上げを選ぶ前に、知っておきたいこと
- ・あとから取り消せない
一度請求すると、減った額が一生続きます。 - ・障害年金が請求できなくなる
繰上げ後に体調をくずしても、あとから障害基礎年金を請求できません。 - ・遺族年金と一緒には受け取れない
65歳になるまでは、どちらかを選ぶことになります。
では繰下げがいつでもおトクかというと、そう言い切れないところがあります。
増えた年金を受け取る期間が短ければ、待った分を取り戻せないこともあるからです。
健康状態や、65歳以降も働くかどうかで、答えは人それぞれになります。
で、年金だけで足りるの?
ここまでで「入ってくるお金」が見えてきました。
あとは出ていくお金と並べるだけです。
毎月の生活費から年金を引いて、足りない分を貯蓄でまかなえるか——それが老後の家計の全体像になります。
この計算は、手元の紙より道具を使ったほうが早いです。
ねんきん定期便の金額をそのまま入れれば、資産が何歳まで持つかがグラフで出ます。
老後の収支シミュレーター(年金込み)に、定期便の月額と生活費を入れてみてください。
「何歳まで持つか」が分かると、いま準備すべき金額もはっきりします。
まとめ:まずは定期便を開くところから
📮 今日できる、いちばん小さな一歩
誕生月に届くハガキを、手にとって眺めてみましょう。
50歳以上なら、そこに書かれた見込み額がそのまま老後の収入になります。
50歳未満なら、書いてあるのは今日までの実績。少なく見えても心配はいりません。
老後のお金の不安は、数字にすると小さくなることがほとんどです。
「いくら入るか」が分かれば、「いくら足りないか」も分かります。
足りない分が見えたら、そこからが準備の始まりになります。
年金は、思っているより頼りになる制度です。
まずは自分の数字を知ることから、ゆっくり始めていきましょう。
🧓 「貯めたお金が何歳まで持つか」を確かめるなら、資産取り崩しシミュレーターへ。
☂️ 「自分にもしものことがあったら家族は?」が気になる方は、遺族年金・必要保障額シミュレーターでも同じように数字にできます。
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よくある質問
Q. 年金は、何年払えばもらえるようになりますか?
A. 10年です。保険料を納めた期間と免除された期間などを合わせて10年(120か月)以上あれば、65歳から老齢基礎年金を受け取れます。以前は25年必要でしたが、2017年8月から10年に短縮されました。ただし10年ぎりぎりだと年金額は満額の4分の1程度になります。受け取れる額は納めた月数に比例するため、期間が長いほど増えていきます。未納期間がある方は、あとから納められる制度(追納・任意加入)が使えることもあるので、年金事務所に相談してみてください。
Q. 働きながら年金を受け取ると、減ってしまいますか?
A. 会社員として厚生年金に加入しながら老齢厚生年金を受け取る場合、給与と年金の合計額が一定の基準を超えると、超えた分の半額が支給停止になる「在職老齢年金」というしくみがあります。基準額は毎年度見直されます。なお、この調整の対象は老齢厚生年金(2階部分)だけで、老齢基礎年金(1階部分)は減りません。また、自営業やフリーランスとして働く場合や、厚生年金に加入しない働き方の場合は、いくら稼いでも年金は減りません。
Q. 配偶者がいると年金が増えると聞きました。
A. 「加給年金」のことです。厚生年金に20年以上加入した方が65歳になったとき、生計を維持している65歳未満の配偶者や18歳年度末までの子がいると、老齢厚生年金に上乗せされます。家族手当のようなイメージで、配偶者が65歳になると終わり、代わりに配偶者自身の老齢基礎年金に「振替加算」がつく場合があります(対象は昭和41年4月1日以前生まれの方)。条件が細かいため、対象になりそうな方は年金事務所で確認するのが確実です。
Q. 年金に税金はかかりますか?
A. かかる場合があります。老齢年金は「雑所得」として所得税・住民税の対象ですが、公的年金等控除があるため、年金額がそれほど多くなければ税金がかからないこともあります。年金から天引きされる場合もあり、その場合は「年金振込通知書」で確認できます。なお、遺族年金と障害年金は非課税で、税金はかかりません(国税庁タックスアンサーNo.1605)。詳しくは国税庁のサイトか、お住まいの市区町村・税務署でご確認ください。
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