複利ってなに?
──雪だるまは、大きくなってからが速い
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「投資は複利がすごい」「雪だるま式に増える」——
そう聞くことはあっても、何がどうすごいのかは、あまり説明されません。
先に、いちばん大事なところをお伝えします。
複利で増えるスピードが上がるのは、始めてから20年をすぎたころです。
最初の10年は、おどろくほど地味な増え方をします。
そこを知らないまま始めると、「思ったより増えない」と感じて、いちばん増える時期の前にやめてしまいます。
この記事では、複利のしくみと、増え方が変わる時期を、実際の数字で見ていきます。
📖 この記事でわかること
- ・複利とは何か(利息にも利息がつく、のしくみ)
- ・差がつくのはいつからか(最初の10年と、最後の10年)
- ・複利を止めてしまう3つのこと
複利とは、利息にも利息がつくこと
複利は、増えた分も足したうえで、次の運用をすることです。
金融庁は「投資や預金などで得た収益を、当初の元本にプラスして運用することで得られる利益」と説明しています。
言葉だけだと分かりにくいので、100万円を年3%で運用できたとして、順に追ってみます。
⛄ 100万円を、年3%で運用できたとしたら
1年目:100万円の3% = 3万円 → 103万円
2年目:103万円の3% = 3.09万円 → 106.09万円
3年目:106.09万円の3% = 3.18万円 → 109.27万円
※ 1年に1回、増えた分を足して計算した場合です。年3%は説明のための数字で、この利回りが約束されているわけではありません。
2年目に増えたのは3万円ではなく、3万900円でした。
1年目に増えた3万円にも、3%がついたからです。
この「増えた分にも増える分がつく」のが複利です。
これに対して、いつも最初の100万円だけに3%がつくのが単利です。
単利なら、10年目も30年目も、増えるのは毎年3万円のまま。
ふたつを並べると、こうなります。
100万円を年3%で運用したとき
| 何年後 | 単利 | 複利 | 差 |
|---|---|---|---|
| 10年 | 130.0万円 | 134.4万円 | +4.4万円 |
| 20年 | 160.0万円 | 180.6万円 | +20.6万円 |
| 30年 | 190.0万円 | 242.7万円 | +52.7万円 |
| 40年 | 220.0万円 | 326.2万円 | +106.2万円 |
※ 当サイトで計算した一例です。1年に1回、増えた分を足して計算しています。税金・手数料は考えに入れていません。
同じ100万円、同じ年3%です。
入れたお金も、増やし方も変えていません。
違うのは、増えた分を運用に回したかどうかだけです。
大きな差になるのは、20年をすぎてから
いまの表で、もうひとつ気づいてほしいところがあります。
10年たった時点の差は、4.4万円しかありません。
30年で52.7万円、40年で106.2万円。
差は後ろにいくほど急に開きます。
毎月コツコツ積み立てる場合も、同じことが起こります。
毎月2万円を年3%で積み立てたとして、そのうち運用で増えた分だけを取り出すと、こうなります。
毎月2万円・年3%で積み立てたとき
| 何年後 | 入れたお金 | 増えた分 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 10年 | 240万円 | 39.5万円 | 279.5万円 |
| 20年 | 480万円 | 176.6万円 | 656.6万円 |
| 30年 | 720万円 | 445.5万円 | 1,165.5万円 |
| 40年 | 960万円 | 892.1万円 | 1,852.1万円 |
※ 当サイトの複利・積立シミュレーターと同じ式(毎月末に積立、月ごとに計算)で出した一例です。税金・手数料は考えに入れていません。
最初の10年で運用によって増えたのは、39.5万円でした。
それに対して、31年目から40年目の10年で増えたのは、446.6万円です。
入れている金額はどちらも同じ、毎月2万円のままです。
同じ10年でも、後半のほうが11倍ほど大きく増えました。
雪だるまと同じです。
転がし始めはなかなか大きくなりませんが、大きくなるほど、一回転で巻き取る雪の量が増えます。
転がし続けた先で急に大きくなるので、そこまで続けられるかが分かれ道になります。
同じ金額を入れても、始めた時期で結果が変わる
複利にとっていちばん大きい材料は、金額よりも期間です。
それを見るために、出すお金の合計をそろえて、始める年齢だけを変えてみます。
そろえる金額は、720万円にします。
前の章で見た毎月2万円を、30年続けたときの合計がこの額です。
同じ720万円を出すなら、40年かけて出す人は毎月1.5万円、20年で出す人は毎月3万円になります。
出すお金を720万円でそろえて、65歳まで積み立てたら
| 始める 年齢 | 毎月 | 出したお金 の合計 | 65歳 のとき |
|---|---|---|---|
| 25歳 | 1.5万円 | 720万円 | 1,389万円 |
| 35歳 | 2万円 | 720万円 | 1,166万円 |
| 45歳 | 3万円 | 720万円 | 985万円 |
※ 当サイトの複利・積立シミュレーターと同じ式で出した一例です。年3%で運用できた場合の計算で、実際の成績は年ごとに上下します。25歳からは40年、35歳からは30年、45歳からは20年の積立です。
出したお金は、どれも同じ720万円です。
それでも65歳のときの差は、404万円になりました。
早く入れたお金ほど、運用に回っている時間が長いからです。
同じことを、逆から見ることもできます。
65歳で1,000万円にしたいとき、毎月いくら出せばよいか、です。
65歳で1,000万円にするには
| 始める 年齢 | 毎月 | 出すお金 の合計 | 65歳 のとき |
|---|---|---|---|
| 25歳 | 1.08万円 | 518万円 | 約1,000万円 |
| 35歳 | 1.72万円 | 619万円 | 約1,000万円 |
| 45歳 | 3.05万円 | 732万円 | 約1,000万円 |
※ 同じく年3%で運用できた場合の計算です。毎月の額は1,000万円に届く金額を100円の単位で出したもので、順に10,800円・17,200円・30,500円です。合計はその額を積立の回数分だけ出した金額です。
45歳から始めると、毎月の金額は25歳の3倍近くになります。
出すお金の合計も、214万円多くなりました。
短くなった時間のぶんを、自分のお金で埋めることになるからです。
ここで「もう遅い」と感じた方に、お伝えしたいことがあります。
45歳から20年でも、720万円を入れて985万円という計算になります(年3%で運用できた場合)。
始めるのが遅いなら、毎月の金額を上げるという手があります。
いくら出せば目標に届くかは、積立目標逆算シミュレーターで逆算できます。
積立投資は、ネット証券の口座があれば少額から始められます。NISAは、その口座の中で使える「税金がかからない枠」です。まずはこの枠から使うと、同じ積立でも手取りが増えます。口座を選ぶ際は、手数料の安さと積立設定のしやすさを比較するのがおすすめです。
何年で2倍になる?(72の法則)
複利には、暗算で見当をつけられる目安があります。
72を利回りで割ると、2倍になるまでのおおよその年数が出る、というものです。
年3%なら72÷3で24年、年5%なら72÷5で14.4年。
預金の金利でも同じように計算できます。
お金が2倍になるまでの目安
| 置き場所 | 年利 | 2倍まで |
|---|---|---|
| ゆうちょ銀行の通常貯金 | 0.300% | 約240年 |
| 同(2026年8月10日から) | 0.400% | 約180年 |
| 同・定期貯金10年 | 0.900% | 約80年 |
| 年3%で運用できたとき | 3% | 約24年 |
| 年5%で運用できたとき | 5% | 約14年 |
※ 金利はゆうちょ銀行の公式サイト(2026年7月21日時点、通常貯金は2026年8月10日から年0.400%に引き上げ)によります。72の法則は概算で、正確に計算すると年0.300%で約231年、年3%で約23.4年です。投資の利回りは説明のための数字で、約束された成績ではありません。
預金と投資では、2倍になるまでの時間がこれだけ違います。
ただし、これは預金が損だ、という話ではありません。
預金は預けた額が減りませんが、投資は減る年もあります。
近いうちに使うお金は預金に置き、当分使わないお金だけを運用に回す、という分け方が土台になります。
※ 年3%や年5%という数字の置きどころとして、公的年金を運用しているGPIFの実績(2001年度から2025年度までの25年間で年率4.67%)が参考になります。過去の平均であり、これからも同じように増えるとはかぎりません。
手数料も、複利でかかります
複利は、増える側だけではありません。
投資信託を持っているあいだ毎年かかる信託報酬も、同じように長い時間をかけて大きな差になります。
手数料が引かれると、その分だけ次の運用のもとが小さくなるからです。
毎月3万円を30年、年5%で運用できたとして、手数料だけを変えてみます。
💰 信託報酬 年0.1%と年1%のちがい
入れたお金:1,080万円(毎月3万円 × 30年)
年0.1%のとき = 2,451万円
年1%のとき = 2,082万円
その差、369万円
※ 当サイトで計算した一例です。運用の成果から手数料を引いた率(年4.9%と年4.0%)で計算しました。実際の手数料は商品ごとに異なるため、目論見書で確認してください。
1年で見れば0.9%の差です。
それが30年たつと、369万円になりました。
同じ指数に連動する投資信託でも手数料には差があるので、投資信託の手数料比較シミュレーターで、自分の持っている商品と比べてみてください。
複利が止まってしまう、3つの場面
複利は、放っておけば必ず働くものではありません。
次の3つの場面では、増えた分が次の運用に回らなくなります。
① 値下がりした年
複利は、減るときにも同じように働きます。
減ったあとの残高が、次の年のもとになるからです。
下がった年にやってよいこと・よくないことは、暴落したらどうする?にまとめています。
② 途中で引き出したとき
売って現金にした分は、そこで運用から外れます。
残った分が次の年のもとになるので、そのあとの増え方も小さくなります。
だからこそ、近いうちに使う予定のお金は、はじめから預金に置いておきます。
③ 分配金を受け取ったとき
投資信託には、分配金を受け取るコースと、運用に回すコースがあります。
受け取ったお金は、次の運用のもとになりません。
積立の設定をするときに、どちらのコースかを確認しておくと安心です。
税金も、同じように働きます。
税金のかかる口座では、利益が出て売ったときに20.315%が引かれ、その分は次の運用に回りません。
新NISAの枠を先に使うと、この引かれる分がなくなります。
あなたの場合は、どう増える?
ここまでの数字は、毎月2万円・年3%という例で計算したものです。
自分の金額と期間を入れると、増え方のかたちが見えます。
複利・積立シミュレーターに、いま出せる金額を入れてみてください。
見るポイントは、合計額よりも「増えた分」の伸び方です。
期間を10年、20年、30年と変えていくと、あとになるほど増えるスピードが上がるのが見えてきます。
まとめ:いちばん増える時期は、あとからやってくる
📝 覚えておきたいこと
- ・複利とは、増えた分にも増える分がつくこと
- ・増え方が上がるのは、20年をすぎたころから
- ・同じ金額を出すなら、早く始めるほど大きくなる
- ・近いうちに使うお金は、預金に置いておく
- ・手数料も複利でかかる。低いものを選ぶ
- ・値下がり・引き出し・分配金で、複利は止まる
複利は、特別な才能や運がある人だけのものではありません。
増えた分を使わずに置いておく、それだけで働きます。
いちばんむずかしいのは、増え方が変わるまで続けることです。
最初の10年は、増えている実感がわきにくい時期です。
派手なことは何も起こりません。
でも、その地味な時間を過ごした人にだけ、あとの伸びがやってきます。
つまらなくて当たり前、そう思って気長にいきましょう。
続けるコツは、がんばらないことです。
自動積立にして、毎日値段を見にいかない。
それだけで、いちばんむずかしい「続ける」がずいぶんラクになります。
🐷 「そもそも自分に投資は必要?」という方は、そもそも私に投資は必要?へ。
「何を買えばいいの?」という方は、結局、NISAで何を買えばいいの?へどうぞ。
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よくある質問
Q. 投資信託を持っていれば、複利は自動でつくのですか?
A. 分配金を出さずに運用へ回すタイプの投資信託であれば、値上がりした分がそのまま次の運用のもとになります。この形が、複利のはたらきに近い状態です。一方、分配金を受け取るコースを選ぶと、受け取った分は運用から外れるため、そのお金は次の運用のもとになりません。同じ投資信託でも「分配金を受け取るか、運用に回すか」で結果が変わることがあります。積立を始めるときに、どちらのコースかを確認しておくと安心です。
Q. 毎月いくらから始められますか?
A. ネット証券の多くは、投資信託の積立を100円や1,000円といった少額から設定できます(金額は会社ごとに異なります)。ただし、金額が小さいうちは複利で増える分も小さくなります。この記事の試算のように毎月2万円を出すのがむずかしい場合は、まず出せる額で自動積立を始めて、収入が増えたときに金額を上げていく方法もあります。大切なのは、生活費を削って無理に増やすことではなく、続けられる金額にすることです。
Q. 途中でやめたら、それまでの複利はなくなりますか?
A. 積立をやめても、売らずに持ち続けているお金の運用はそのまま続きます。なくなるのは「これから積み立てるはずだったお金」の分だけです。ただし、そこで売って現金にしてしまうと、その資産の運用は止まります。家計が苦しくなったときは、解約より先に「積立額を下げる」「一時的に止める」という選択があります。手続きはいつでもでき、あとから再開もできます。
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