住宅ローン、いくらまでなら大丈夫?
──「借りられる額」と「返せる額」は違います
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家は、人生でいちばん大きな買い物です。
そして住宅ローンは、人生でいちばん大きな借金です。
いちばん気になるのは「自分はいくらまで借りていいのか」だと思います。
ここで知っておきたいのは、銀行が「貸せます」と言う金額と、無理なく返せる金額は別ものだということです。
この記事では、その差を公的なデータで確かめていきます。
📖 この記事でわかること
- ・みんなが実際に、いくらの家を買っているか
- ・「借りられる額」と「返せる額」がどれくらい違うか
- ・ローンとセットの保険「団信」と、金利タイプの基本
📌 この記事が前提にしているもの
数値は、住宅金融支援機構「2024年度フラット35利用者調査」など公的な調査のものです。
これから家を買おうか考え始めた方向けの、目安の話です。
実際にいくら借りられるか・返せるかは家庭ごとに違うので、最終的な判断は金融機関やファイナンシャルプランナーにご相談ください。
みんな、いくらの家を買っている?
まず、実際のデータから見ていきます。
フラット35という住宅ローンを使って家を買った人の平均です。
| 住宅の種類 | かかったお金の平均 | 年収の何倍か |
|---|---|---|
| 土地付注文住宅 | 5,007万円 | 7.5倍 |
| マンション(新築) | 5,592万円 | 7.0倍 |
| 注文住宅(建物のみ) | 3,936万円 | 6.9倍 |
| 建売住宅 | 3,826万円 | 6.7倍 |
| 中古マンション | 3,033万円 | 5.5倍 |
| 中古戸建 | 2,573万円 | 5.3倍 |
※ 住宅金融支援機構「2024年度フラット35利用者調査」より。「かかったお金」は建設費や購入価額(所要資金)、「年収」は世帯全体の年収です。利用者の平均世帯年収は669万円でした。
新築なら年収の7倍前後、中古なら5倍台。
これが「実際に買った人たち」の平均です。
ただしこの数字は結果であって、安全ラインではありません。
同じ年収でも、家族の人数や教育費の予定によって、返せる額はまったく違うからです。
「借りられる額」は、思ったより大きい
住宅ローンの審査では、「返済負担率」という数字が使われます。
年収のうち、何%をローンの返済に回すかという割合です。
借りられる上限と、実際の平均
🏦 借りられる上限(フラット35の基準)
年収400万円以上の方:年収の 35%以下
年収400万円未満の方:年収の 30%以下
🏠 実際に借りた人の平均
年収の 23.2%(2024年度の平均総返済負担率)
※ 住宅金融支援機構「フラット35 ご利用条件」および「2024年度フラット35利用者調査」より。民間の銀行も、9割以上が返済負担率を審査項目にしています(国土交通省・令和6年度民間住宅ローンの実態に関する調査)。
上限の35%と、実際の平均23.2%。
この差を、年収500万円の家庭で計算してみます。
🧮 年収500万円の場合(月収およそ41.7万円)
上限の35%まで借りると:毎月の返済 約14.5万円
平均の23.2%なら:毎月の返済 約9.7万円
その差は、毎月およそ5万円です。
※ 年収500万円÷12か月で計算した目安です。この「年収」は税金や社会保険料が引かれる前の金額なので、手取りで考えると負担の感じ方はさらに重くなります。
⚠️ 上限は「安心ライン」ではありません
審査の上限は、金融機関から見た「ここまでなら貸せる」の線です。
あなたの家計から見た「ここまでなら生活が回る」の線ではありません。
実際、30%以上で借りている人は約2割にとどまります。
目安は「毎月いくら返すか」から
では、自分の「返せる額」はどう考えればいいのか。
物件の値段からではなく、毎月の返済額から逆算するのがおすすめです。
「返せる額」を確かめる3ステップ
① いまの家賃を基準にする
いまの家賃で生活が回っているなら、それが1つの実績値です。
② 持ち家ならではの出費を足す
固定資産税、修繕の積立、マンションなら管理費。
家賃と同じ額の返済だと、実際の住居費は家賃より重くなります。
③ これからのライフイベントと並べる
教育費が増える時期や、収入が変わる予定と重ねて確かめます。
③を頭の中だけでやるのは大変です。
ライフプラン シミュレーターに住居費と家族の予定を入れると、この先の家計の推移をグラフで確かめられます。
本格的なライフプラン表(キャッシュフロー表)は、FP(ファイナンシャルプランナー)に相談すると自分専用のものを作れます。日本FP協会のサイトでも相談窓口や作成ツールが公開されています。
毎月の支払いは、返済額だけではありません
②の「持ち家ならではの出費」を、もう少し具体的に見ておきます。
持ち家には、ローンの返済とは別に、持っているだけでかかるお金があります。
ここを見落とすと、想定した毎月の支払いと実際の支払いに差が出てしまいます。
| かかるお金 | 誰にかかるか | 金額のめやす |
|---|---|---|
| 固定資産税・都市計画税 | 持ち家の全員 | 年10〜15万円くらいから |
| 火災・地震保険 | 持ち家の全員 | 建物全体にかけるため賃貸より高め |
| 管理費 | マンション | 全国平均 月11,503円 |
| 修繕積立金 | マンション | 全国平均 月13,054円 |
| 修繕のそなえ | 戸建て | 月1〜1.5万円を自分で積む |
※ 管理費・修繕積立金は国土交通省「令和5年度マンション総合調査」の全国平均です(管理費は駐車場代を除く)。固定資産税・都市計画税は物件の評価額で決まり、買ったあとは毎年の納税通知書で確定します。戸建てには管理費や修繕積立金はありませんが、外壁・屋根・水回りなどの修繕費を自分で積み立てておく必要があります。
🧮 マンションで、毎月の返済が10万円の場合
ローン返済 100,000円
+ 管理費 11,503円 + 修繕積立金 13,054円
+ 固定資産税など(年12万円 → 月あたり1万円)
+ 火災・地震保険(年2万円 → 月あたり約1,700円)
= 毎月の住居費は 約13.6万円(返済額に維持費が月およそ3.6万円上乗せ)
※ 上の表の全国平均と目安の金額をあてはめた一例です。固定資産税と保険の金額は物件や契約によって変わります。
家賃と比べる金額は、返済額の10万円ではありません。
「返済額+維持費」の約13.6万円のほうです。
この合計で見ておくと、住み始めてからの実際の支払いと、思っていた金額とのずれが起きにくくなります。
また、買うときには1回だけかかる「諸費用」もあります。
仲介手数料・登記・税金・ローン手数料などで、目安は新築で物件価格の3〜7%、中古で6〜10%です。
4,000万円の新築なら、120万〜280万円ほどになります。
いっぽうで、戻ってくるお金もあります。
住宅ローン控除は、年末のローン残高の0.7%が税金から最大13年間戻ってくるしくみです。
戻る金額の上限と年数は、住宅の省エネ性能などの区分で決まります。
維持費・諸費用・控除までぜんぶ含めた「実質の負担」は、購入 vs 賃貸 シミュレーターで並べて確かめられます。
賃貸の側も、家賃だけでなく更新料や火災保険まで含めた合計で計算するので、同じ土俵で比べられます。
買う場合と借りる場合の累計をグラフで比べられるので、この記事の内容を自分の数字で試せます。
団信──ローンとセットになっている保険
住宅ローンには、「団体信用生命保険」という保険がついてきます。
略して団信(だんしん)です。
☂️ 団信のしくみ
ローンを組んだ人が亡くなったときや、所定の障害状態になったとき。
残りのローンが全額なくなり、家族はそのまま家に住み続けられます。
フラット35の団信では、死亡のほか、身体障害者手帳1級・2級に該当したときが対象です。
※ 住宅金融支援機構「新機構団信」の案内より。がん・急性心筋梗塞・脳卒中に備える保障を上乗せしたタイプもあります。
団信の保険料は、別払いすることは少なく、多くは金利に含まれる形で払います。
フラット35では、団信つきと団信なしの金利差は0.2%が目安です。
つまり毎月の返済額の中に、保険料も入っているということです。
知っておきたいことが2つあります。
1つめは、加入には健康状態の告知が必要なことです。
国の調査では、健康状態を審査で考慮する金融機関のうち、834機関が団信への加入を必要としていました。
加入が不要だったのは、わずか2機関です。
つまり健康を損なってからでは、住宅ローン自体を組みにくくなる場合があります。
2つめは、団信に入るといまの生命保険を見直せることです。
万一のとき、住まいの分は団信がまかなってくれます。
死亡保障のうち住居費にあてていた分は、減らせる可能性があります。
考え方は保険、入りすぎてない?で整理しています。
4人に3人が変動金利。でも──
住宅ローンの金利には、大きく2つのタイプがあります。
途中で金利が変わりうる「変動型」と、最後まで変わらない「固定型」です。
| 金利タイプ | 選んだ人の割合 |
|---|---|
| 変動型 | 75.0% |
| 固定期間選択型 | 14.9% |
| 全期間固定型 | 10.1% |
※ 住宅金融支援機構「住宅ローン利用者の実態調査(2026年1月調査)」より。2025年4月〜9月に住宅ローンを利用した方が対象です。
変動型は当初の金利が低めなぶん、金利が上がると毎月の返済額が増えていきます。
同じ調査では、52%の人が金利リスクへの理解に不安があると答えていました。
4人に3人が選んでいるのに、半数はしくみに自信がないままなのです。
⚠️ 金利タイプ選びの前に、できること
変動と固定のどちらが得になるかは、将来の金利しだいで誰にも分かりません。
確実にできるのは、金利が上がっても耐えられる借入額にしておくことです。
返済負担率に余裕があれば、どちらのタイプを選んでも致命傷になりにくくなります。
まとめ:家の値段より先に、毎月の返済額を決める
📝 覚えておきたいこと
- ・実際に買った人の平均は、新築で年収の7倍前後、中古で5倍台
- ・借りられる上限は年収の30〜35%。でも実際の平均は23.2%
- ・目安は物件価格からではなく、毎月返せる額から逆算する
- ・返済とは別に、税金・保険・管理費・修繕の維持費が毎月かかる
- ・団信でローンは守られる。そのぶん生命保険は見直せる
- ・金利タイプ選びより先に、金利が上がっても耐えられる借入額に
不動産屋さんや銀行が教えてくれるのは、「買える額」と「借りられる額」です。
「返せる額」を知っているのは、あなただけです。
その1本の線を先に引いてから、物件を見に行きましょう。
35年は、長い道のりです。
背負う荷物が軽いほど、途中の坂道も、景色を楽しみながら歩けます。
🩺 病気で収入が止まってもローンは残ります。そのときの公的な支えは、働けなくなったら、お金はどうなる?をどうぞ。
☂️ 団信に合わせた保険の見直しは、保険、入りすぎてない?で考え方を整理しています。
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よくある質問
Q. 年収の何倍までなら安心ですか?
A. 「何倍までなら安心」という決まりはありません。2024年度のフラット35利用者調査では、新築は年収の7倍前後、中古は5倍台が平均でしたが、これは実際に借りた人の結果の平均で、安全ラインではありません。同じ年収でも、家族の人数や教育費の予定で返せる額は変わります。倍率ではなく、毎月の返済額が家計に収まるかで考えるほうが実態に合いやすいです。
Q. 銀行の審査に通ったなら、その金額を借りても大丈夫ですか?
A. 審査の上限は「ここまでなら貸せる」という金融機関側の線で、「ここまでなら生活が回る」という線ではありません。たとえばフラット35の基準は年収の30〜35%以下ですが、実際に借りた人の平均は23.2%です。上限いっぱいまで借りると、教育費や老後の積立と両立しにくくなる場合があります。
Q. 団信に入れば、いま入っている生命保険はいらなくなりますか?
A. ローンを組んだ人に万一のことがあっても、団信で住まいの分はまかなえるので、死亡保障を減らせる場合が多いです。ただし、残された家族の生活費や教育費の分は団信ではまかなえません。遺族年金と合わせて、必要な保障額を確かめてから見直すのがおすすめです。
Q. 変動金利と固定金利、どちらを選べばいいですか?
A. どちらが得になるかは将来の金利しだいで、事前には誰にも分かりません。大事なのは、金利が上がって返済額が増えても家計が耐えられるかどうかです。返済額に余裕がないまま変動金利を選ぶと、金利が上がったときの逃げ道がなくなります。借入額を抑えて余裕をつくっておくことが、金利タイプ選びより先の土台になります。
Q. 新築は高くて手が届きません。中古はどうですか?
A. 2024年度の調査では、中古は年収倍率5倍台と、新築の7倍前後よりだいぶ低めでした。フラット35利用者に占める中古住宅の割合も34.8%まで増えていて、めずらしい選択ではなくなっています。ただし築年数によって修繕やリフォームの費用が変わるため、物件価格だけで判断しないことが大切です。
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